猫の甲状腺腫瘍

甲状腺は、首の気管の両側に位置し、体の代謝を調整する甲状腺ホルモンを分泌する臓器です。猫の甲状腺腫瘍はほとんど良性腫瘍(甲状腺腺腫)ですが、稀に悪性腫瘍(甲状腺癌)も認められます。猫では甲状腺ホルモンを過剰に分泌する機能性甲状腺腫がほとんどであり、甲状腺機能亢進症により様々な症状が引き起こされる。具体的には、体重減少(食欲は通常増加)、多飲多尿 / 多食、活動性亢進 / 落ち着きのなさ、心拍数増加・心雑音・高血圧、被毛不良、消化器症状(嘔吐・下痢)などが認められます。

身体検査

 頸部のしこりを評価します。

血液検査

 腎数値・肝数値・甲状腺ホルモン(T4)を中心に評価します。

心機能検査

 レントゲン検査・超音波検査・心電図・血圧測定

CT検査

 腫瘍の拡がりや周囲組織の関連性、対側の甲状腺を評価します。

CT検査
CT検査
CT検査

外科治療

甲状腺腫瘍の摘出により診断と甲状腺機能亢進症の改善が期待されます。

甲状腺には副甲状腺(上皮小体)が付着しており、副甲状腺はカルシウムの調整を行っています。

可能な限り副甲状腺を温存して、甲状腺腫瘍の摘出を行います。

術後には低カルシウム血症、腎障害に注意します。

内科治療

甲状腺機能亢進症に対する治療を行います。

内科治療によりホルモン数値を安定させた後に外科治療を実施します。

高齢や腎不全など麻酔リスクが高い場合には内科治療を主体に治療を行います。

ほとんどが良性腫瘍であり、外科切除によって根治が期待されます。

悪性腫瘍の場合には命に関わる可能性があります。

猫の甲状腺腫瘍は殆どが良性腫瘍であり、外科治療や内科治療によって長く元気に過ごせる可能性がある病気です。治療の選択は、猫ちゃんの年齢や全身状態、腎臓など他の病気の有無、そしてご家族のお気持ちを大切にしながら決めていきます。一方で、悪性腫瘍の場合には注意が必要で、腫瘍の性質や進行の程度によっては、慎重な判断が求められます。「どこまで治療を行うか」「何を一番大切にしたいか」を、一緒に相談しながら最適な方針を考えていきます。

*画像提供:松原動物病院