猫の肥満細胞腫(MCT)

猫の皮膚肥満細胞腫(Mast Cell Tumor,  MCT)は、頭部や体幹部、四肢などに多く認められ、約20%では多発性に発生するとされています。犬とは異なり、全ての皮膚MCTが悪性というわではありません。高分化型や多形型、組織球型などの組織型に分類され、高分化型であれば予後は良好で、組織球型であれば自然に退縮する場合もあります。病変が多発している場合には脾臓型肥満細胞腫や脾臓への転移が起こっている場合があります。

耳介
肉球
体幹部

身体検査

 多発していないか、リンパ節の腫大を評価します。

細胞診検査

 基本的には細胞診検査で診断が可能です。

 組織型分類の推測が可能な場合もありますが、確定には病理組織学的検査が必要です。

腹部超音波検査

 脾臓や肝臓の評価を行います。

c-kit遺伝子変異

 MCTの約60%で異常が認められます。

・高グレード:有糸分裂像 5以上(/10HPFs)+以下の3項目中2個以上を満たす

  ・腫瘍径が1.5cm以上

  ・不整な核形状(多くの細胞で認められる)

  ・核小体の明瞭さ/クロマチン結節(50%以上の細胞で認められる)

・低グレード:高グレードの所見がない

外科治療

 基本的には広範囲での外科摘出が推奨されます。

 高齢の猫で低グレードを疑う場合には、最小限での摘出や経過観察を行う場合があります。

 高グレードを疑う場合には、リンパ節の摘出を同時に行います。

 脾臓型または脾臓への転移を疑う場合には脾臓摘出術を同時に行います。

皮膚肥満細胞腫:マージン2cmを確保して切除

化学療法

 再発・転移の防止を目的に補助治療として行う場合があります。

分子標的薬

 c-kit遺伝子変異がある場合には治療効果がかなり期待されます。

内科治療

 積極的な治療を希望されない場合はプレドニゾロンの内服や局所注射などを検討します。

予後は摘出組織のグレードによって異なりますが、低グレードであれば完全切除であれば予後は良好です。高グレードや転移がある場合には様々な治療を組み合わせた場合でも、残念ながら予後不良となることが多いです。

肥満細胞腫は様々な見た目をしており、見た目での診断は困難です。細胞診検査により診 断が可能な場合が多いので、しこりを発見された場合には早めの診察をおすすめします。当院では、外科治療や化学療法が治療が可能です。外科治療が最も有効な治療法となりますが、年齢や基礎疾患を総合的に判断し、最適な治療を相談させて頂きます。

*画像提供:松原動物病院